哲学設計

習う、ではなく、哲学に意識的になり、面白く運用していく

担当教員

仁科斂非常勤講師

仁科斂非常勤講師

Overview

本ゼミでは、基本的に、過去の哲学者と称ばれている人たちが書いたものを読みます。だから形のうえでは哲学史をやります。哲学史以外に、哲学の血肉はないからです。けれど狙いはむしろ皆さんが、この⼀見まだるっこしい作業を通じて、哲学そのものを発見してゆくことです。哲学そのものは、おそらく学問には収まりません。あるいは少なくとも固有の分野にはとどまらない。まさに哲学史の詞を用いれば、哲学とは、哲学史に内在する、自己自身との絶え間のない差異化運動です。この学問とそれ自身との内的差異は、いかなる分野、いかなるジャンルにも必ず見いだされるものなのだから、哲学史の勉強は、皆さんがこれからどこへ進んでゆくにしても、なんらかの形で寄与するものであるという信念の許、取り組んでゆきます。

  • 授業風景(文献講読①)

    授業風景(文献講読①)

  • 授業風景(文献講読②)

    授業風景(文献講読②)

Curriculum

(西洋)哲学はじつは初発から決められたさまざまなルール、と言ってわるければ、行きたがる傾向によって規定されている。なかでも、表象に対する本質の存在論的優位、ひらたく云えば、見てくれよりも真実が大事という、プラトン形而上学の第一命題は、未だに哲学のみならずわれわれの文明を決定づけている。

本ゼミでは、哲学によって隠されてきた(あるいは隠れたものへの志向そのものによって隠された)次元をあえて哲学的に問うことで、哲学の限界を見きわめる。そのためにおもに20世紀以降、哲学がある意味では完了し、また暴走しているともいえる時代の作物をとりあげ、随時古典も参照しつつ、最終的には、学生がみずからのうちに、無意識に根づいている〈哲学〉に意識的になり、それを切り捨てるのでも、耽溺してしまうのでもなく、批評的距離をとり得るようになることを目指す。

Student Message

Student Message

哲学設計ゼミは、2025年度に新設されたゼミです。主に発表と議論を通して、哲学を探究していきます。
哲学は、世界をどう捉えるかを探る学問であり、本ゼミでは「問いに答える」こと以上に「問いから答えに辿り着こうとする過程」を重視します。その過程で得られるのは、世界を捉えるためのヒントです。ヒントが増えることで世界は少しずつ見えてきますが、同時に捉えきれなさも明らかになります。
それでも、私たちが哲学するのは、探究を通して「世界があること」と「世界が捉えきれないこと」の両方が確かになり、そこに「世界の面白さ」を見出したからでしょう。

4年生 K・M