芸術学科の素顔

【イベント】創立90周年記念 芸術学科シンポジウムⅠ開催レポート

イベント芸学ライヴ(授業紹介)

多摩美術大学創立90周年を記念して、芸術学科では、卒業生を招聘した、全2回の公開討論会を開催いたします。

今回は、芸術学科創設当時から2000年代にかけて芸術学科で学んだ3名のゲストをお招きして、9月20日(土)に開催した第1回シンポジウムの様子をお届けします。

全2回の本シンポジウムの詳細については、こちらをご覧ください。

1981年の芸術学科創設当時の募集要項に掲載された、故東野芳明教授の熱意のこもったテクストをきっかけに、登壇者の皆さんが「なぜ芸術学科に入学したのか?」というお話とそれぞれの自己紹介から、今回のシンポジウムはスタートしました。

駒形克哉氏(84年度卒業)には、多摩美在学時代の作品から近作に至るまで、オブジェ制作や詩の朗読、パフォーマンスなど、芸術家としてのご自身の非常に多彩な活動をまとめた紹介映像をお見せいただきました。

市川靖子氏(96年度卒業、98年度大学院修了)には、美術展にとどまらず、幅広い文化事業の広報に携わってきたご経験、そして「株式会社いろいろ」の設立とその取り組みについてお話しいただきました。

吉田有里氏(04年度卒業、06年度大学院修了)には、在学中から積極的に芸術祭に関わるなかでアートコーディネーターという仕事を目指すようになったことや、街中でアートプログラムを展開する試みをご紹介いただきました。

最後に、自身も芸術学科の卒業生で、今回の司会を務める越後谷卓司教授(87年度卒業)の自己紹介を終えて、フリーディスカッションに移りました。


フリーディスカッションでは、学科創設の立役者である東野芳明氏をはじめ、李禹煥名誉教授、故宇佐美圭司氏、菅木志雄氏、峯村敏明名誉教授、建畠晢名誉教授・前学長、海老塚耕一名誉教授など、これまで芸術学科で教鞭をとられた錚々たる各先生方と過ごした大学時代の思い出をお話しいただきました。諸先生からの厳しくも愛ある教えや叱咤激励、あるいはふとした意外な一面など、卒業生だからこそご存知の貴重なエピソードに会場を沸かせました。

なお、菅木志雄氏は多摩美術大学創立90周年記念事業の一つ、アートアーカイヴセンター主催の「菅木志雄のペーパーワーク Archives&Recent Works」展および関連イベントにご登壇されます。詳細は、こちらをご覧ください。

また、芸術学科に残されていた映像資料をもとに、かつて芸術学科で行われていたユニークな授業(骨董市の見学、展覧会場でのインタビューなど)に話題が及ぶと、現役の学生や教員たちもその斬新な内容に驚いていた様子でした。

当時の教授陣からも伺えるように、「もの派」の影響が色濃く反映されたかつての授業内容は、今では少し様変わりしましたが、そのスピリットは継承されているのではないでしょうか。

残念ながらご欠席となりました、宇都宮美術館学芸員の北村淳子氏(84年度卒業)には、事前にさまざまな資料を提供いただき、当時の芸術学科の様子も教えていただいておりました。これらもシンポジウム内でも越後谷教授より紹介されました。

登壇者の皆さんのお話はまだまだ尽きない様子でしたが、時間の関係もあり、約3時間の濃密な今回のシンポジウムは盛況のうちに閉幕いたしました。

第2回シンポジウムは、10月11日(土)13:30より開催いたします。第2回の登壇者は、2010年代以降に芸術学科を卒業されてご活躍中の若手OB・OGの面々です。皆さまお誘い合わせの上、ぜひお越しくださいませ。